特殊鋼の特性1

区分 記号 化学成分(%)
C Si Mn P S Cu Ni Cr Mo W V その他
一般構造用
圧延
(JIS G3101)
SS400 0.050
以下
0.050
以下
機械構造用
炭素鋼
(JIS G4051)
S25C 0.22
~0.28
0.15
~0.35
0.30
~0.60
0.030
以下
0.035
以下
0.30
以下
0.20
以下
0.20
以下
S30C 0.27
~0.33
0.15
~0.35
0.60
~0.90
0.030
以下
0.035
以下
0.30
以下
0.20
以下
0.20
以下
S35C 0.32
~0.38
0.15
~0.35
0.60
~0.90
0.030
以下
0.035
以下
0.30
以下
0.20
以下
0.20
以下
S45C 0.42
~0.48
0.15
~0.35
0.60
~0.90
0.030
以下
0.035
以下
0.30
以下
0.20
以下
0.20
以下
S50C 0.47
~0.53
0.15
~0.35
0.60
~0.90
0.030
以下
0.035
以下
0.30
以下
0.20
以下
0.20
以下
S55C 0.52
~0.58
0.15
~0.35
0.60
~0.90
0.030
以下
0.035
以下
0.30
以下
0.20
以下
0.20
以下
炭素工具鋼
(JIS G4401)
SK3 1.00
~1.10
0.10
~0.35
0.10
~0.50
0.030
以下
0.030
以下
0.25
以下
0.25
以下
0.30
以下
SK4 0.90
~1.00
0.10
~0.35
0.10
~0.50
0.030
以下
0.030
以下
0.25
以下
0.25
以下
0.30
以下
SK5 0.80
~0.90
0.10
~0.35
0.10
~0.50
0.030
以下
0.030
以下
0.25
以下
0.25
以下
0.30
以下
高速度工具工
(ハイス)
(JIS 4403)
SKH2 0.73
~0.83
0.45
以下
0.40
以下
0.030
以下
0.030
以下
17.20

18.70
1.00
~1.20
SKH10 1.45
~1.60
0.45
以下
0.40
以下
0.030
以下
0.030
以下
3.80
~4.50
11.50

13.50
4.20
~5.20
Co4.20
~5.20
SKH51 0.80
~0.88
0.45
以下
0.40
以下
0.030
以下
0.030
以下
3.80
~4.50
4.70
~5.20
5.90
~6.70
1.70
~2.10
SKH57 1.20
~1.35
0.45
以下
0.40
以下
0.030
以下
0.030
以下
3.80
~4.50
3.20
~3.90
9.00

10.00
3.00
~3.50
Co9.50
~10.50
合金工具鋼
(JIS G4404)
SKS3 0.90
~1.00
0.35
以下
0.90
~1.20
0.030
以下
0.030
以下
0.50
~1.00
0.50
~1.00
SKS31 0.95
~1.05
0.35
以下
0.90
~1.20
0.030
以下
0.030
以下
0.80
~1.20
1.00
~1.50
SKS93 1.00
~1.10
0.50
以下
0.80
~1.10
0.030
以下
0.030
以下
0.20
~0.60
SKD1 1.90
~2.20
0.10
~0.60
0.20
~0.60
0.030
以下
0.030
以下
11.00

13.00
0.30
以下
SKD11 1.40
~1.60
0.40
以下
0.60
以下
0.030
以下
0.030
以下
11.00

13.00
0.80
~1.20
0.20
~0.50
SKD12 0.95
~1.05
0.10
~0.40
0.40
~0.80
0.030
以下
0.030
以下
4.80
~5.50
0.90
~1.20
0.15
~0.35
SKD61 0.32
~0.42
0.80
~1.20
0.25
~0.50
0.030
以下
0.020
以下
4.80
~5.50
1.00
~1.50
0.80
~1.15
SKT4 0.50
~0.60
0.10
~0.40
0.60
~0.90
0.030
以下
0.020
以下
0.80
~1.20
0.35
~0.55
0.05
~0.15
ニッケル
クロム鋼
(JIS G4053)
SNC236 0.32
~0.40
0.15
~0.35
0.50
~0.80
0.030
以下
0.030
以下
0.50
~0.90
SNC415 0.12
~0.18
0.15
~0.35
0.35
~0.65
0.030
以下
0.030
以下
0.20
~0.50
SNC631 0.27
~0.35
0.15
~0.35
0.35
~0.65
0.030
以下
0.030
以下
0.60
~1.00
SNC815 0.12
~0.18
0.15
~0.35
0.35
~0.65
0.030
以下
0.030
以下
0.70
~1.00
区分 記号 熱処理
(℃)
機械的性質の代表値
降伏点
または耐力
(N/m㎡)
引張強さ
(N/m㎡)
絞り
(%)
伸び
(%)
硬さ
(HB) (HRC)
一般構造用
圧延
(JIS G3101)
SS400 215以上 400~510 21以上 121~156
機械構造用
炭素鋼
(JIS G4051)
S25C 焼鈍 152~212
S30C 焼入れ/焼戻し 335以上 540以上 55以上 23以上 149~207
126~163
167~235


S35C 焼ならし
焼鈍
焼入れ/焼戻し
305以上

390以上
510以上

570以上


55以上
23以上

22以上
167~229
137~170
201~269


S45C 焼ならし
焼鈍
焼入れ/焼戻し
345以上

490以上
570以上

690以上


45以上
20以上

17以上
179~235
143~187
212~277


S50C 焼ならし
焼鈍
焼入れ/焼戻し
365以上

540以上
610以上

740以上


40以上
18以上

15以上
183~255
149~192
229~285


S55C 焼ならし
焼鈍
焼入れ/焼戻し
390以上

590以上
650以上

780以上


35以上
15以上

14以上


炭素工具鋼
(JIS G4401)
SK3 焼入れ/焼戻し 850以上 61以上
SK4 焼入れ/焼戻し 770以上 61以上
SK5 焼入れ/焼戻し 59以上
高速度工具工
(ハイス)
(JIS 4403)
SKH2 焼入れ/焼戻し 63以上
SKH10 焼入れ/焼戻し 64以上
SKH51 焼入れ/焼戻し 63以上
SKH57 焼入れ/焼戻し 66以上
合金工具鋼
(JIS G4404)
SKS3 焼入れ/焼戻し 60以上
SKS31 焼入れ/焼戻し 61以上
SKS93 焼入れ/焼戻し 63以上
SKD1 焼入れ/焼戻し 62以上
SKD11 焼入れ/焼戻し 58以上
SKD12 焼入れ/焼戻し 60以上
SKD61 焼入れ/焼戻し 50以上
SKT4 焼入れ/焼戻し 52以上
ニッケル
クロム鋼
(JIS G4053)
SNC236 焼入れ/焼戻し 590以上 740以上 50以上 22以上 217~227
SNC415 焼入れ/焼戻し 780以上 45以上 17以上 235~341
SNC631 焼入れ/焼戻し 685以上 830以上 50以上 18以上 248~302
SNC815 焼入れ/焼戻し 980以上 45以上 12以上 285~388
区分 記号 材料特性 用途
一般構造用
圧延
(JIS G3101)
SS400 一般にSS材と呼ばれ、リムド鋼を圧延して鋼板、型鋼、棒鋼などとして用いる。特に炭素量を規定せず、引張強さによって種別される。 鋼板、鋼帯、棒鋼、平鋼、型鋼
機械構造用
炭素鋼
(JIS G4051)
S25C 「Carbon Steel」鉄Feに、炭素Cだけを0.02~2.0%含む 鋼を炭素鋼という。機械構造用炭素鋼SC材としてJISでは炭素量0.05~0.65%の範囲で細かく区分され、S10C~S58Cまで23鋼種の規定が設けられている。
一般には、炭素量0.02~0.2%の鋼を低炭素鋼、炭素量0.30~0.50の鋼を中炭素鋼、0.05~2.0%の鋼を高炭素鋼と呼んでいる。低炭素鋼 は切削性、冷間加工性、溶接性が良好である。中炭素鋼は冷間加工性、溶接性、はやや劣るが、焼入れ/焼戻しを行うことで強度と靭性を兼備した強靭性が得ら れる。高炭素鋼は焼入れ硬化性が更に大きくなり、工具類に使用される。特に炭素量1%以上の鋼は炭素工具鋼SK材として別に規定されている。
鋼中の炭素量による特性の変化を利用して 用途目的に応じて幅広く適用する鋼種である。
冷間ヘッダー、ボルド、ピン類、溶接を必要とする部品
S30C シャフト、小歯車など高周波焼入れ部品、電動機軸、車軸など焼きならし部品、中程度の強度の冷間加工部品
S35C
S45C 一般小物部品でずぶ焼き入れを行う部品、クランク軸、クラッチ部品、傘骨、チェーン部品、座金
S50C
S55C ずぶ焼き入れで高強度を要する部品、トラック車軸ばね、安全靴、缶切り、トムソン刃、傘
炭素工具鋼
(JIS G4401)
SK3 「Carbon Tool Steel」炭素Cを0.60~1.50%の範囲で含有する高炭素鋼で、不純物以外の合金元素は他に添加しない。工具需要の約60%を占める代表鋼種である。 弱点は熱による硬化軟化である。JISではSK1~SK7の7種類ある。 ハクソー、刃物ばね、治工具、プレス型
SK4 ペン先、ぜんまい、ゲージ、ばね、刃物、メリヤス針、斧、プレス型
SK5 ぜんまい、ゲージ、ばね、刃物、メリヤス針、木工用および製材用帯鋸、丸鋸、事務機部品、クラッチ
高速度工具工
(ハイス)
(JIS 4403)
SKH2 「High Speed Tool Steel」高炭素鋼にW、Cr、V、Co、Moな
どの合金元素を多量に複合添加した高合金工具鋼である。 高温使用で軟化が起こらず高速切削可能なため高速度鋼と名付けられ、英語読みから「ハイス」とも呼ばれる。
大別してW系、SKH2、3、4、10Mo系SKH51~59に分類される。
一般切削用、その他各種工具
SKH10 高難削材切削用、その他各種工具
SKH51 靭性を必要とする一般切削用、その他各種工具
SKH57 比較的靭性を必要とする高速重切削用、その他各種工具
合金工具鋼
(JIS G4404)
SKS3 「Alloy Tool Steel」炭素工具鋼にCr、Mo、W、V、Ni、Si、Mnなど1種または2種以上添加した合金工具鋼である。 炭素工具鋼に次いで工具需要の約30%を占める。添加合金元素の効能により、鋼種それぞれに、耐磨耗性、耐衝撃性、耐変形性、耐熱性の用途向け改善が施され用途別に以下の4分類分けられる。
切削工具用:SKS2、7、8、11、21、51
耐衝撃工具用:SKS4、41~44
冷間金型用:SKS3、31、93~95、SKD4、11、12
熱間金型用:SKD4~8、61~62、SKT3、4
冷間金型用:ゲージ、プレス型、シャー刃、ネジ切ダイス
SKS31
SKS93
SKD1 冷間金型用:線引きダイス、プレス型、粉末成形型
SKD11 冷間金型用:ゲージ、金属刃物、プレス型、ネジ転造ダイス、フォーミングロール
SKD12
SKD61 熱間金型用:ダイキャスト型、プレス型、プラスチック型、押出工具
SKT4 熱間金型用:鍛造型、プレス型、押出工具
ニッケル
クロム鋼
(JIS G4053)
SNC236 強靭鋼:SNC236、631、836肌焼鋼:SNC415、815Niはフェライトの強さ、粘りを高め、Crは焼入れ性を増加させる。
焼戻しもろさの傾向が強いため500℃以上の焼戻しには急冷しなければならない。
シャフト、ボルト
SNC415 ピストンピン
SNC631 クランクシャフト、ギヤ―
SNC815