HPM材とは?HPM材の加工におけるポイント
HPM材とは
HPM材は日立金属株式会社様が開発した予め30~40HRCに調質(熱処理)されたプリハードン鋼です。日立のハイピーエムシリーズなので「ハイピーエム」とも呼ばれています。主に金型に使われています。
HPM1とは
HPM1は「Ni-Al-Cu系のプリハードン鋼」で、HRC40程度の硬度があります。快削成分であるS(硫黄)を0.1%程度含有しており被削性が良好です。「精密なシボ加工や鏡面加工」には向いておらず、主に汎用金型に使われます。
HPM38とは
HPM38はSUS420J2を改良した13Cr系含Moステンレス鋼で30HRC程度の硬度のステンレス系プリハードン鋼です。熱処理変形が小さく、焼入・焼戻しの追加処理を行うことにより50~55HRCの硬さになります。優れた鏡面性が得られ主に精密プラスチック金型に用いられます。
HPM材の加工におけるポイント
HPM材は30~40HRC程度の硬度がありながら、切削性に優れており、加工による歪なども少なく加工することができます。
また、予め調質されているので追加の熱処理が不要となり、また、熱処理による歪もないので、平面度などの精度の向上・リードタイム短縮によるコストダウンにもつながります。
HPM材の加工事例①:HPM1 長尺厚物加工部品
厚み80ミリ、幅100ミリ、長さ1000ミリのHPM1長尺厚物加工部品です。
平面上に深さ20ミリと15ミリのポケット加工とピン穴、裏側には40ミリの段加工と20カ所のザグリ穴付きネジがあります。
厚みが80ミリの厚物で40ミリの段加工があり歪などの問題がありますが、研磨加工なしで平面度、直角度50ミクロンに仕上げることが出来ました。
HPM材の加工事例②:HPM38 厚物プレート加工
厚み50ミリ、幅500ミリ、長さ500ミリのHPM38の厚物プレート加工部品です。
平面上に20ミリのポケット加工が3カ所とΦ50の精度穴が4カ所と幅20の長穴加工が2カ所あり6カ所のざぐり穴があります。
厚みが50ミリの厚物で20ミリの段加工があり歪などの問題がありますが、研磨加工なしで平面度、直角度50ミクロンに仕上げることができました。また、4ヶ所のΦ50の精度穴にはピッチ間10ミクロン、直角度、平行度20ミクロンに加工できました。
HPM材の加工事例③:HPM38 長尺厚物加工
厚み50ミリ、幅300ミリ、長さ1500ミリのHPM38長尺厚物部品です。
平面上に5ミリの段加工と25ミリの段加工が両端にあり両端8カ所のざぐり穴、8カ所の精度穴があります。
精度穴のピッチ間が20ミクロンになります。厚みが50ミリの厚物で25ミリの段加工があり歪などの問題がありますが、研磨加工なしで平面度、直角度50ミクロンに仕上げることが出来ました。
最後に
長尺部品加工センターを運営する城陽富士工業では、ミクロン単位の超高精度加工や横型加工など、お客様のあらゆるニーズにお応えする加工技術を保有しております。
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