長尺部品の材質選定で高精度加工を実現!
長尺部品はサイズが長くなればなるほど、精度を出すのが難しいとされています。
なぜ精度を出すのが難しいのかというと、材質や形状によって反りや歪みが発生するからです。
当然、仕上がり精度を高める研削加工を行えば、精度を出せますが、
加工に対する工数を踏まえると、コストアップに繋がります。
そこで、今回は材質変更という点に着目し、
材質変更によって、精度向上を実現した提案事例をご紹介します。
提案①:A2017からA5052への材質変更
A2017の材料は板厚の公差が広い(t20で±0.5~±0.8程度)ため、
ご指定の板厚よりも厚い材料を使用して、削り出すことで精度良く仕上げる可能です。
当然、材料の厚みが増すことで材料費が高騰し、面削り費用も発生します。
弊社では、このような背景からA5052の高精度プレートの使用をご提案致します。
当社が取り扱う神戸製鋼のアルハイス材や白銅YH52等は優れた圧延技術を持ち、
残存応力を除去した高精度なプレート材料です。
A2017では板厚20mmで±0.5~±0.8程度だったものが、
A5052に変更することで、寸法精度は±0.1程度を実現します。
また、材料費もA5052の方が安価で加工性も良いので、
トータル的なコストダウンを実現することが可能です。
>>A5052(アルミ)のプレート加工におけるポイントについてはこちら
提案②:SUS304からSUS303への材質変更
ステンレスの加工はいかに歪みを抑えて、加工を行うかが重要なポイントとなります。
切り欠けや抜き穴など複雑形状の場合、歪みの状態を確認しながら加工を行うことは時間がかかり、
平面度・平滑度を求める製品では研削加工等で仕上げを行う必要があるため、コストアップの要因となります。
そこで、弊社では製品の使用用途に応じて、SUS303への材質変更をご提案致します。
まず、SUS303はSUS304に比べて、リン(P)と硫黄(S)を多く含む粘り気の少ない材質です。
そのため、加工性が非常に優れており、
特に長尺部品のような切削量の多い部品では加工時間短縮及びご要望の形状・精度保証に繋がります。
>>高精度加工やコストダウンを実現する材料選定のご提案!(ステンレス編)についてはこちら
提案③:SS400からS50Cへの材質変更
SS400は流通量が多く、一般的に広く使われている比較的安価な材料です。
SS400の使用はコスト削減にも繋がりますが、機械的性質が弱く、
歪が発生しやすいので、高精度な部品には適していません。
平面度や平行度などを必要とされる高精度部品では、S50Cの使用をご提案致します。
S50CはSS400に比べて、機械的性質が強いため、歪が抑えやすい材料となります。
SS400のように機械的性質が弱い材料は加工中の変形が大きく、
一定以上の力が加わると、変形した状態から戻らなくなることもあります。
その点、同じ条件下でもS50Cの方が変形も少なく精度もしっかり出すことが可能となります。
>>高精度加工やコストダウンを実現する材料選定のご提案(鉄系材料SS400)についてはこちら
提案④:SKD61焼入れ鋼からプリハードン鋼への材質変更
熱処理は、鋼の強度など、物理的な性能を高めるために欠かせない工程です。
日本金属熱処理工業会で「赤めて冷ますこと」と記載されており、
金属に加熱と冷却を加えて、形を変えることなく性質を向上させる加工技術と説明されています。
摺動部品や搬送部品など、硬度や耐摩耗性が求められる製品は熱処理込みのご依頼を頂きます。
弊社では、協力企業様にご対応いただいておりますが、形状によってはご対応できない場合もございます。
例えば、全長1200ミリを超える製品は釜に入りませんし、
板厚5ミリ以下の製品は歪量が大きく、歪取りを行っても歪が除去しきれない場合、
そして、板厚が薄いために割れが発生する恐れもあります。
また、熱処理後に歪を取り除く工程で硬度が下がってしまうケースもあります。
このように熱処理のご対応が難しい場合、弊社ではNAK55やHPM材などの材質変更をご提案いたします。
硬度はNAK55でHRC37~40程度、HPM1はHRC40、HPM38でHRC29~33
(HPM38は熱処理後HRC50~55程度)となります。
これらの材質は熱処理が不要なためコスト面で優れ、工数削減によるリードタイムの短縮を図れます。
>>NAK材とは?NAK材の加工におけるポイントについてはこちら
>>HPM材とは?HPM材の加工におけるポイントについてはこちら
まとめ
長尺部品加工センターを運営する城陽富士工業では、
ミクロン単位の超高精度加工や横型加工など、お客様のあらゆるニーズにお応えする加工技術を保有しております。
長尺加工に関するお悩みは、是非、当社までご相談ください。
また、城陽富士工業では、
リモート会議システムを活用した「無料オンライン技術相談」も随時行っております。
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