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自動倉庫で使われる長尺加工部品とは

自動倉庫で使われる長尺加工部品とは

近年、物流業界を中心に自動倉庫の導入が加速しています。自動倉庫は、人手に頼っていた入出庫作業を自動化することで、効率化や省人化を実現するシステムです。今回は、自動倉庫、特に長尺部品を扱う自動倉庫に焦点を当て、そこで使用される部品について解説していきます。

自動倉庫とは

自動倉庫とは、コンピュータ制御によって、商品の入出庫を自動で行う倉庫のことです。 スタッカークレーンと呼ばれる自動搬送機が、倉庫内の通路を移動し、棚から商品をピックアップして、入出庫ステーションまで搬送します。 自動倉庫は、人手に比べて、より正確かつ迅速に作業を行うことができるため、物流の効率化に大きく貢献しています。

自動倉庫を活用するメリットとは

自動倉庫には、以下のような利点があります。

⓵省人化・省力化

人手に頼っていた入出庫作業、ピッキング作業、在庫管理などを自動化することで、人材の確保が難しい状況でも安定した運用が可能になります。また、人件費を削減できるだけでなく、従業員をより付加価値の高い業務に配置転換することができ、人材の有効活用につながります。

②作業効率の向上

自動倉庫は24時間稼働が可能で、昼夜を問わず効率的な作業が行えます。
また、コンピュータ制御による正確な作業により、人為的なミスを減らし、作業の精度とスピードを大幅に向上させることができます。

③スペースの有効活用

自動倉庫は、高層棚や立体的な構造を採用することで、限られたスペースを最大限に活用し、保管効率を高めることができます。従来の倉庫に比べて、より多くの商品を保管することができ、土地の有効活用にもつながります。

④在庫管理の精度向上

コンピューターによる在庫管理は、リアルタイムで正確な在庫状況を把握することができます。入出庫の記録が自動的にシステムに反映されるため、棚卸作業の手間を省き、在庫管理の効率化と精度向上を実現します。

⑤安全性向上

自動化により、高所作業や重量物の運搬など、作業員にとって危険な作業を減らすことができます。また、倉庫内のレイアウトや作業動線を最適化することで、フォークリフトなどの衝突事故のリスクを低減し、作業環境の安全性を向上させることができます。

自動倉庫で使われる長尺部品

自動倉庫では、様々な部品が使用されていますが、特に長尺部品は重要な役割を担っています。長尺部品は、主に搬送システムや棚の構造材として使用され、自動倉庫全体の安定性と効率性を支えています。 ここでは、代表的な長尺部品をいくつかご紹介します。

搬送用レール

搬送用レールは、スタッカークレーンが移動するためのレールです。レール自身も長尺部品であり、その加工精度がスタッカークレーンの走行精度、ひいては搬送全体の効率に大きく影響します。スタッカークレーンがスムーズに走行するためには、レールの歪みや凹凸を少なくすることが重要です。レールを高精度に加工することで、スタッカークレーンはスムーズに走行できるようになり、搬送速度の向上、搬送時間の短縮、そしてエネルギー消費の削減に繋がります。
また、レールの加工精度が高いことで、振動や揺れが抑制されます。これにより、搬送中の荷崩れや部品の落下を防ぎ、安全性を高めることができます。さらに、レールとスタッカークレーンの車輪の摩擦が軽減され、摩耗を抑制することでスタッカークレーンの長寿命化にも貢献します。結果として、スタッカークレーンのメンテナンス頻度を減らし、寿命を延ばすことが可能になります。加えて、正確な位置決めが可能となることで、保管効率の向上と、誤った場所への搬送による事故のリスクを低減します。
このように、長尺部品(搬送用レール)の加工精度を高めることは、スタッカークレーンの走行性能、搬送の安全性、そしてスタッカークレーンの寿命にまで、多岐にわたる影響を与える重要な要素となります。

 

キャリッジフレーム

キャリッジフレームは、スタッカークレーンに搭載され、荷物を持ち上げるためのフレームです。長尺部品であるキャリッジフレームは、高い強度と精度が求められます。
キャリッジフレームの強度が高いことで、重い荷物を持ち上げても変形せず、安定した搬送が可能になります。これは、荷崩れや落下を防ぎ、安全な搬送を実現するために非常に重要です。また、耐久性にも優れているため、長期間の使用に耐え、メンテナンスコストを削減できます。
さらに、キャリッジフレームの加工精度が高いことで、荷物を正確な位置に搬送することができ、保管効率を高めることができます。自動倉庫のような限られたスペースで効率的に荷物を保管するためには、正確な位置決めが不可欠です。
このように、キャリッジフレームの強度と精度は、自動倉庫における搬送効率、安全性、そしてコストパフォーマンスに大きな影響を与えます。長尺部品の加工精度が、自動倉庫全体の性能を左右すると言っても過言ではありません。
今回ご紹介したように自動倉庫は、効率的な保管と搬送を実現するために、様々な部品が組み合わさって構成されています。中でも、レールやキャリッジフレーム、そしてパレットなど、多くの長尺部品が重要な役割を担っています。長尺部品の加工精度は、自動倉庫全体の効率、安全性、そしてコストパフォーマンスに良い影響を与えます。しかし、長尺部品は、その長さゆえに加工が難しいという側面も持ち合わせています。高い精度を維持しながら、歪みやねじれを抑制する高度な技術が求められます。

当社の長尺部品の製作事例をご紹介!

事例1 マイティバー FC300 全長1600mm レール部品

寸法 40×150×1600
材質 マイティバー FC300
精度 厚み精度±0.02、段落ち部の平行度0.02
特徴 材質の特性として摩耗性が低く、減衰率が高い為レール部品に向いている。加工方法や清掃方法を工夫が必要。
参考価格 100,000円(材料費別)

材質マイティバー、FC300を使用したガイドレール部品です。厚み40ミリ、幅150ミリ、全長1600ミリとなります。マイティバー、FC300の特徴は、加工性が良くSS400などの一般的な鉄系材料と大きく変わりませんが、FC250に比べ硬度が高く、加工時の工夫が必要な材料となります。
また、摩耗しにくく減衰率が高い為、振動や騒音を抑えることができ摺動部やレール部品に向いている材料といえます。但し、材料に含まれる黒鉛が加工機の内部に溜まり機械の動きや精度に影響を与える可能性があります。弊社では加工方法や清掃方法を工夫することにより鋳鉄の加工も承っております。
本製品は、厚み精度±0.02、段落ち部の平行度0.02となっております。
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事例2 ガイドレール S50C調質材 HRC25 平行度0.02

寸法 55×35×1500
材質 S50C調質材
精度 段落ち部は底面に対して平行度0.02
特徴 高精度レール部品。調質材を使用し製品の硬度はHRC25程度。
参考価格 75,000円(材料費別)

厚み55ミリ、幅35ミリ、長さ1500ミリのレール部品です。5ミリの段加工とM6タップとザグリ穴加工をしています。本製品はベースプレートに組み付けて使用されるため底面に対し段落ち部分は平行度0.02となっております。
レール部品につき、硬度が必要な為S50Cの調質材を使用して加工しています。S50Cの生材の硬度がHRC16程度に対し、S50C調質材はHRC25程度となり製品の長寿命化に繋がります。但し硬度が高くなる為、加工性は低くなります。
材料の特性に応じた加工条件・工具の選定を行うことで安定した加工が可能となります。
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事例3 全長2m 走行レール 分割部品 S55C調質材

寸法 30×120×2000
材質 S55C調質材
精度 板厚公差0.05、2本の接続部分ペア差0.02
特徴 S55C調質材使用。分割部品の為、接続箇所45度で加工。
参考価格 200,000円(材料費別)

厚み30ミリ、幅120ミリ、長さ2メートルのレール部品です。片側の端面を45度で加工しており、2本を接続してご使用される部品です。板厚公差は±0.05、接続箇所のペア差は0.02以下となります。材質は硬度が必要な製品の為、S55Cの調質材を使用しています。S55Cは構造用炭素鋼の中でも高炭素鋼に当たります。
さらに熱処理を施すことにより硬度が高くなり耐摩耗性も高くなります。本製品は全長約2メートルと長い製品となる為、材料入荷時点の状態や工具・加工条件の選定を行い、最適な加工方法を取る事でお客様のご要望にお応えすることが可能となります。
また接続部分のペア差も機械加工にて仕上げる事により研削加工が不要となり、リードタイム短縮が可能となります。
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最後に

長尺部品加工センターを運営する城陽富士工業では、ミクロン単位の超高精度加工や横型加工など、お客様のあらゆるニーズにお応えする加工技術を保有しております。
長尺加工に関するお悩みは、是非、当社までご相談ください。
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